七日間の遺書

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あらすじ

朝倉遥、二十七歳。父・和成は遥が十二歳の秋に出張先のホテルで転落死し、母・志乃はその四年後に雨の県道でガードレールを越えて死んだ。別々の事故、別々の年、別々の場所。誰も二つを結びつけなかった。

父の十五回忌のあと、遥は実家の押し入れから父の古い手帳を見つける。最後のページに挟まれていたのは、母の筆跡で書かれた一文と、父が死ぬ三日前の日付。その夜、遥は自宅の階段で足を滑らせ、目を覚ますと十五年前の九月一日、実家の自分の部屋にいた。十二歳の体ではなく、二十七歳の姿のまま。両親には「父の会社の後輩」と名乗って近づくしかない。

過去に留まれるのは、父が死ぬ前の九月一日から七日まで。七日目の朝が来ると、遥は必ず現在に引き戻され、また九月一日からやり直しになる。持ち帰れるのは記憶だけ。そして周回のたびに、遥が触れた人間の運命だけが少しずつずれていく——父を助けられた回では、代わりに母が七日目に死ぬ。

容疑者は身近にいた。父の同僚・久瀬亮太は、遥が知る「父を慕っていた優しい先輩」の顔の裏で、会社の不正会計の帳簿を握っていた。上司の柏木部長は、父が告発しようとしていた相手であり、同時に母の学生時代の知人でもある。母の親友・水島奈津美は、母が誰にも言えなかった事情を唯一知る人物で、周回ごとに証言を変える。そして現在の遥の恋人・志賀壮太は、十五年前のこの町にいたはずのない少年として、二周目の路地に立っている。

周回を重ねるごとに、遥は自分の家族像が作り物だったことを思い知る。父の出張は仕事ではなかった。母の事故現場は、母の実家へ向かう道ではなかった。二人の死は四年離れているのに、同じ一週間の中に原因がある。そして最後に判明するのは、七日目に必ず何かが起きるこのループを、遥自身が十二歳のときに引き起こしていたという事実だ。手帳に挟まれた母の一行は、遥に宛てた遺書だった。

最終盤で遥は選ぶ。真相を暴いて二人の死を「殺人」に書き換えるか、両親が最後に交わした約束を守って、事故のまま眠らせるか。

主要人物

朝倉遥は二十七歳の医療事務で、慎重で記録魔、感情より事実で人を測る癖があります。朝倉和成(父・四十歳)は真面目で口下手な経理課長、朝倉志乃(母・三十八歳)は快活に見えて秘密を抱えた元教師。久瀬亮太は父の同僚で誠実さと打算が同居する男、柏木部長は最大の容疑者にして最初に容疑が晴れる人物、水島奈津美は母の親友で嘘の証言をする理由がある人、志賀壮太は現在の恋人でありながら十五年前の町にいた最大の謎です。

構成のねらい

一周目は父を助けることに全力を注ぎ、成功したと思った瞬間に母が死ぬ。二周目以降は「誰を助けるか」の取捨選択がそのままミステリーの調査になり、七日目の朝がタイムリミットとして毎話の引きになります。周回ごとに一人ずつ容疑者の裏の顔が剥がれ、終盤で「二つの事故は同じ一週間に根がある」という構造の反転が来る形です。

登場キャラクター

物語

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